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電脳ホワイトボードに待望のUndo機能搭載


会社に来て、来客まで時間があるので出社したついでに要望の多かったUndo機能を電脳ホワイトボード


に実装しました。


とりあえず無限Undoになっています。メモリガンガン使うのはご愛嬌。富豪的?


あと、ペンモードを標準にしました。

また、電脳ホワイトボードはたとえばhttp://onosendai.jp/whiteboard/?url=のあとにURLを続けて書くと、そのURLの示すページや画像を編集することができます。


あきば電脳ライフの方はこのやり方でTwitterや電脳ライフで投稿された他の書き込みに対してラクガキできるようになりました。



最近買ったものを唐突にレビュー

凄い早く寝たらすごい早く起きてしまって暇なので、最近買ったものを唐突にレビューします


超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか HDリマスター版 メモリアルボックス (初回限定生産)

超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか HDリマスター版 メモリアルボックス (初回限定生産)

  • 出版社/メーカー: バンダイビジュアル
  • 発売日: 2007/12/21
  • メディア: DVD

プロトカルチャー!!!

マクロス劇場版。これが凄いのは、ある朝、突然会社に届いていたこと。注文した記憶すらない。けど、全く返品しようと思わなかったところが凄い。

まずマクロスのHDリマスター版。これは無茶苦茶きれい。家宝にしたい。

そもそも劇場版マクロスといえばですね、庵野秀明が原画をやって山賀博之が演出をやっているような不朽の名作ですよ。

そしてもう映像と演出。いまだにこれを超えるアニメを見たことが無い。エヴァンゲリオンすら霞みますね。

庵野秀明が師匠と仰ぐ天才アニメーター板野一郎による「板野サーカス」の真骨頂ともいうべき本作はビデオテープが本当に擦り切れるまで見ました。

そしてこの復刻版。泣かせるのが当時の極めて詳細な設定資料が付いているところ。この設定資料だけで5000円くらいの価値はある。特に、バルキリーのHUDの設定なんか細かすぎて泣けますよ。こんな凄いCGっぽいムービーを全て手描きで描いていたという点も驚愕の二文字。

あと、ゼントラーディ語という、宇宙人の使う言葉を文法も含めて緻密に設定しているのは凄い。なんか微妙に英語っぽい単語も混じってるのが苦しいけど。ゼントラーディ人が日本語を無理やりしゃべるときには外タレ(ケント・ギルバート)に声をあてさせて「日本語覚えたての宇宙人」を再現するとか、拘りすぎてて面白い。

そして三木本晴彦の絵という、最高に線が多くて動かしづらいキャラクターをまるで生きているかのように動かす驚愕の作画技術。これがまさにアニメーションだ、と言えるでしょう。

この作品世界では、2009年が舞台。あと二年でゼントラーディ軍がフォールドしてくるわけですよ。

エヴァンゲリオンやナウシカは素晴らしい映画なんだけど、どうも暗くて辛い。もっと能天気な映画が見たい、という人には間違いなくお勧め。なんてったってアイドルの歌が地球を救うっていう話なんだから。

とくにラストシーン近くのブリタイ司令の台詞を聞くと完全にミンメイとシンクロして涙があふれて来ます。

「リン・ミンメイの歌を聴く全ての者に伝える。我々の敵はゴルグ・ボドルザーただ一人。我々の手に、文化を取り戻すのだ!」

目の前にワイパーが欲しい!((c)おすぎ)

蘇える金狼

蘇える金狼

  • 出版社/メーカー: PI,ASM/角川書店
  • 発売日: 2000/12/22
  • メディア: DVD


「ジュピターには何時に着くんだ?」

松田勇作による普及の名作映画。マクロスの次にこれっていうのもどうかと思いますが、見ちゃったんだから仕方が無い。とにかくこの時代のエリートの描写が滅茶苦茶面白い。この作品はいろいろな作品にモチーフが引用されていて、たとえば「内閣強制取締官 中房林太郎」の林太郎がゼネコンに潜入するときの変装は本作の主人公そのものだし、「特命係長 只野仁」のドラマ版もかなり金狼を意識していると思われます。この当時のオフィスには紙が溢れていて、パソコンの類が全く見当たらないのも衝撃です。

しかし何が蘇ったのか不明。きっと大藪春彦は国語辞典をランダムに開いて適当に言葉を組み合わせてタイトルをつけるタイプの作家だったんだと思います。

野獣死すべし

野獣死すべし

  • 出版社/メーカー: 角川ヘラルド映画
  • 発売日: 2006/10/20
  • メディア: DVD

 


「お前、死ねよ」

金狼を見てこの時代の松田優作に今頃興味が出てきて見ました。いくらなんでも野獣過ぎる。ひたすら殺伐とした気分になる映画。救いがない。だがそれがいい。若い人には見せたくないです。

探偵物語

探偵物語

  • 出版社/メーカー: 角川ヘラルド映画
  • 発売日: 2006/10/20
  • メディア: DVD


 

「わたし、辻山さんが思っているほど子供じゃありません!」

金狼、野獣ときて、松田優作がとんでもない奴だと思ったあとに見ると清清しいほど「いい人」な優作が見れてほっとする内容の映画です。古き良き日本の価値観とはこういうものだったんだろうなあ、といういろいろな意味で安心して見れる映画。

自棄になって見しらぬ男とラブホテルに行ってしまうあたりの描写がいかにも赤川次郎。そのオチも含めて。赤川次郎作品の実写化という意味では不朽の作品かもしれません。


ナショナル・トレジャー 特別版

ナショナル・トレジャー 特別版

  • 出版社/メーカー: ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント
  • 発売日: 2006/07/07
  • メディア: DVD

 


「独立宣言書の裏に・・・そのう、宝の地図が隠されているんです。見えないインクで書かれている・・・

今週続編が公開された本作。残念ながらカウボーイ大会の準備でまだ見れてないですが、絶対見るし絶対DVDを買うと思う。その前作。

まずフリーメイソンというネタ。それだけでワクワクする。秘密結社マニアの人は絶対みるべし。全編フリーメイソンです。1ドル札に隠された謎がどんどん解き明かされていく、こんなトレジャーハンターになりたい。うらやましい。

そしてダイアン・クルーガー。ミシェル・ヴァイヨンでも、トロイでも、その圧倒的な美しさで圧倒的な存在感を誇っていましたが、近作では理知的な教授として準主役として登場。こんな教授が身近に居たらどんな無茶な話でも引き受けてしまいそう。

アクションシーンの迫力があります。とにかくこの作品は逃げる、逃げる、逃げ続ける。逃げながら謎を追う。この緊張感は現代版インディ・ジョーンズと呼ばれるのも頷けます。ニコラス・ケイジの顔はイマイチだけど、大好きな作品。


ダイ・ハード4.0 (特別編/初回生産分限定特典ディスク付き・2枚組)

ダイ・ハード4.0 (特別編/初回生産分限定特典ディスク付き・2枚組)

  • 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
  • 発売日: 2007/11/07
  • メディア: DVD

 


「ベテラン刑事をご指名だと?ヘッ

まさか復活するとは思わなかった伝説の映画の続編。世界一不運な男、ジョン・マクレガー刑事のまさかの大活躍劇。全3作全て見直したが、4.0が最も面白いかもしれません。全編に渡って迫力ありすぎ。iPod Touchにずっと入れっぱなしで暇さえあれば繰り返し見てます。特にパトカーでヘリコプターと対決したり、生身でF-35を撃墜したり、無茶苦茶だけどそれがいいというシーンの連続。

コンピュータ・ハッカーものとしても面白い映画です。

未来忍者 慶雲機忍外伝

未来忍者 慶雲機忍外伝

  • 出版社/メーカー: バンダイビジュアル
  • 発売日: 2003/10/24
  • メディア: DVD

和風スターウォーズ
本当は金曜日に雨宮監督にお会いできるということで半年くらい楽しみにしていたのですが、もう忙しすぎてドタキャン。無茶苦茶残念。僕は雨宮監督はジェットマン、ジパングの頃から大ファンで、もちろん本作も大好き。「未来忍者」は、もし鎖国が終わらずにそのまま続いていたら?という無茶な設定で独自に進化した架空の日本が舞台。白がロボットになって歩き出したり、侍はスカウターみたいなかたちの「気合ゲージ」をつけていたり、剣はビームカタナになっていたりとやりたい放題。こういう無茶苦茶な雰囲気は好きです。
 
ZIPANG

ZIPANG

  • 出版社/メーカー: ハピネット・ピクチャーズ
  • 発売日: 2001/03/25
  • メディア: DVD

俺は地獄極楽丸

ジパングは林海象の出世作ですが、雨宮慶太氏がストーリーボードを担当していることは意外と知られていません。この映画、とにかくスピード感があるSF時代劇。時代劇にSFの要素を付加した怪しい作品はこの後、雨宮監督のトレードマークのようになっていきますが、その後のどの雨宮作品よりもスピード感や迫力があります。主演は高島政伸。安田成美扮する「鉄砲お百合」は本当に可愛い。もっと出番を増やしてくれればいいのに

7BLADES/セブンブレイズ

7BLADES/セブンブレイズ

  • 出版社/メーカー: コナミ
  • 発売日: 2000/12/21
  • メディア: ビデオゲーム
ZIPANGの世界観を忠実にゲーム化したのが7BLADES。アマゾンのレビューをみたらひどく酷評されているけど、僕はすごく楽しめた。確かにひどいプログラムとしか言いようが無い部分もあるが、鉄砲お百合でプレイできるから面白いと思う(間違った評価の下し方)。というかいまどきPS2のゲームを紹介されても困るか。

NO MORE HEROES(ノー・モア・ヒーローズ) 特典 メタル“ビーム・カタナ”アクセサリー付き

NO MORE HEROES(ノー・モア・ヒーローズ) 特典 メタル“ビーム・カタナ”アクセサリー付き

  • 出版社/メーカー: マーベラスエンターテイメント
  • 発売日: 2007/12/06
  • メディア: ビデオゲーム
「1位になるまでお預けって約束でしょ!」
最近遊んで最もハマったのがこのゲーム。
主人公の目的は「シティで一番の殺し屋になって、仲介屋の女の子に一回だけやらせてもらう」こと。
Wiiって子供用じゃないんかい、という突っ込みもむなしい本作はマニア好みの仕掛けが随所にちりばめてあって意外と楽しいのです。
Wiiの初期タイトルはやたらコントローラーを振り回すものがおおかったけど、最小限の動きだけでゲームを成立させているところがとても評価できます。
というか、特定の女の子とヤリタイというだけでこんな血で血を洗うような殺し合いを繰り返していけるというのは凄いパワー。何人殺してるんだよ。歴史上の戦争もこうして起きたのだろうかと考えてしまいます。
フリーミッションも楽しい。暇つぶしに遊ぶもよし、一位を我武者羅に目指すも良し。良作ですね。
クライシス コア -ファイナルファンタジーVII-(通常版)

クライシス コア -ファイナルファンタジーVII-(通常版)

  • 出版社/メーカー: スクウェア・エニックス
  • 発売日: 2007/09/13
  • メディア: ビデオゲーム
 
ゲームといえば出張のときに必ず持ち歩くPSP用の本作は、むしろPSPでこそRPGは生きながらえるのではないかと感じさせる良作です。
でもちょっとアクションっぽい操作が年寄りにはしんどい。
EVERY EXTEND EXTRA エブリ エクステンド エクストラ

EVERY EXTEND EXTRA エブリ エクステンド エクストラ

  • 出版社/メーカー: バンダイ
  • 発売日: 2006/08/03
  • メディア: ビデオゲーム
 
水口さん監修の本作は、時間を忘れて遊べるパズルゲームの良作。
惜しいのは、もっとたくさんスキンが入ってないのかっていうことと、いつまでたっても「恋のマイアヒ」が出てこないっていうこと。この手の音楽パズルはネット配信が前提にないとせっかくのポテンシャルが生かしきれないと思います。もったいない!
 

仮想世界あれこれ

クリスマスイブだというのに200超のブックマークをいただいて、はてなユーザの生活を垣間見た思いですが、まあクリスマスの夜だというのにブログなんか書いてる僕も50歩100歩です。


メタヴァースもの、というのはもちろんセカンドライフが初めてではありません。


最も有名な例は1986年にジョージ・ルーカス率いるルーカスフィルム・ゲームズ社がβテストを行ったハビタットというサービスです。




ハビタットは最初期のサービスでありながらとんでもなく高い自由度を誇っていました。

ハビタットの機能・特徴は以下の通りです

  1. アバターと呼ばれるプレイヤーの分身を操作して仮想世界を歩く
  2. アバターの顔や服は仮想世界で販売されている
  3. リージョンと呼ばれる領域に別れ、複数のリージョンによって世界が作られる
  4. トークンとよばれる通貨があり、仕事をすることでトークンがもらえる
  5. プレイヤーが勝手に会社を作ったり、政府を作ったりすることができる
  6. 「オラクルの噴水」でお祈りすると、システム管理者とチャットできる
  7. テレポーテーションは街中にある電話ボックス型のテレポテーションボックスを使うとできる
  8. アバターは殺されることがある。殺されると自分のアパートにテレポートする

この時点でセカンドライフとかなり共通する機能を持っていたことに改めて驚きます。
ハビタットについて書かれた論文を読むと、今でも通用しそうないくつかの教訓を得られたことがわかります。

ハビタットの社会を分析したこちらの論文も面白いです。初めてハビタットの神(プログラマー兼システムオペレーター)となった人がまとめたハビタットの伝説(日本語訳)

この論文はとても示唆に富んでいます。いわく、ハビタットには全体の半数を占める「受動者」と、それに次いで多い「能動者」、さらに会社をつくったりイベントを仕掛けたりする「先導者」、初心者を救済しシステムの穴を人力で埋める「介護者」、そしてシスオペたる「神」の五段階のユーザが居た、ということです。

ハビタットの利用料は1分につき約10円(8セント)でしたが、ヘビーユーザにとってこれは衝撃的なくらい高いコストになっていたようです。それはそうでしょうね。

ヘビーユーザは一ヶ月に1000ドル(10万円以上!)も接続料を払ったのだという。しかしこんなモデルはうまくいくはずがなかったわけです。

ハビタットは全てのネットワークゲームの祖とも呼べるくらい、さまざまな要素の絡んだ素晴らしい実験であったと言えます。「アバター」という言葉などはハビタットによって初めてもたらされたと言ってよいでしょう。

ハビタットの時代は、シスオペがかなり仮想世界の構成や構築に関して積極的に関与し、ユーザとの対話からシステムを動的に変化させていくことが重要な役割を果たしていたように見えます。これも最近のWebサービスにおける「開発者ブログ」や「開発者とのコミュニケーション」というものに近いものだと言えるでしょう。

ハビタットはあまりにも凄すぎて、その後何年も追従するサービスは現れませんでしたが、インターネットの世界になると同時期くらいに、Sonyが開発したCommunityPlaceという仮想空間エンジンをもとに仮想空間サービスがいくつか作られました。

これはVRMLという、仮想空間記述言語(HTMLに相当する)をベースにした技術で、HTMLを書くのと同じようにVRMLを書くと、仮想世界上の物体を定義できるというきわめて野心的なものでした。

僕もCommunityPlaceのユーザでしたが、根本的にマシンスペックに対してびっくりするくらい動作が重いのが最大の弱点でした。また、通信速度も全く足りていませんでした。当時は14.4Kbpsくらいのモデムが最先端でしたが、とても足りませんね。

ただ、ユーザがプログラムした3Dオブジェクトを交換するという試みは当時とても珍しいものに感じました。

セカンドライフに通じる部分です。

このCommunityPlaceも、Sony自体もどうすればいいのかもてあましているように見えたのですが、結局「ちょっと変わったチャットサービス」ということで落ち着いてしまったのは実に残念です。



Ultima Onlineは仮想世界として世界で始めて成功したビジネスです。
1997年からスタートし、MMORPGが無数に乱立する現在でも高い人気を誇る普及の名サービスと言えます。

UOは世界のみならず、社会、生態系までもの再現を行おうと試みられています。

プレイヤーは家を建てたり、船を買ったりすることができ、家を建てるのがプレイヤーのひとつの目標となることや、町の外には危険があったり、街中でも殺人犯やスリといった悪徳プレイヤーにだまされたりといったことが再現されているのですが、特徴的なのは運営側が「悪徳プレイヤーの存在もまたゲーム性である」と明言していたことです(今現在はどうなったのか知りません)。

UOの提供するゲーム性と自由度は極めて高いレベルにあり、しかもあくまでも基本は「ゲーム」であるというところに軸足が置かれているため、単に仮想社会であるだけでなく、ユーザが楽しめるような道しるべやイベントといったものがシステム側主体で用意されたりします。

そのあたりが、あくまで運営側がシステムの開発と維持に徹して、イベントごとは全てユーザに委ねるメタヴァース的世界観とMMORPGとの一番大きな違いであると言えます。

メタヴァース的システムがなぜ積極的にユーザをもてなさないかというと、これはツールとエンターテインメントの違いであるとも言えます。

ツールとは、ワードプロセッサやWWWブラウザのようなもので、エンターテインメントは映画やゲームであると言えます。

エンターテインメントには必ず臨界点があります。

どんなに凄いソフトでもスーパーマリオの販売本数は1億本です。
これは凄く稀な例で、ふつうはどんなに売れても100万本くらいです。

これは「面白い」と思うものが本質的に人によって異なるからです。
みんなが普遍的なテーマを扱おうとしますが、普遍的な感動というのはなかなか存在しないのです。

どれだけ「セカチューが泣ける」と聞いても、「おれは別にわざわざ映画を見て泣きたいとは思わない」という人は永久に見ないのです。どれだけ「銀河ヒッチハイクガイド」が名作であると力説しても、東浩紀さんは「どうせ読まないからオチだけ教えてくれ」と言ってくるのです。本職の批評家ですらそうなのだから、単一のエンターテインメントで全米が泣くことなんか有り得ない。

逆に言えばエンターテインメントは臨界点があるから零細企業や新興企業の入り込む余地があると言えます。

またエンターテインメントは一過性のものです。どんな名作でも、終わってしまいます。終わらない名作というのはエンターテインメントには有り得ないわけです。ふつう、作者が死んでしまえば続きは作られることはありません。凄い例外はドラえもんやサザエさんなどの長寿アニメです。しかし作者が死んでなお、生前の作者がつくったのと同程度の新作をつくることは困難です。

エンターテインメントには需要があるからこそ、人々はエンターテインメントを消費でき、クリエイターは新作を作り続けることができるのです。

しかしツールにはそうした臨界点はありません。

誰もがワードプロセッサを使い、誰もが当然のようにWWWブラウザを使っています。

ツールは人類全てが使うことになってもおかしくないわけです。
車輪を使わない人類はもうほとんど居ないと思います。

車輪というツールに臨界点がないことの証左でしょう。

しかし人形浄瑠璃を楽しまない日本人は山ほど居ます。そういう僕も見たことがありません。

セカンドライフはツールとしてのメタヴァースを目指し、UltimaOnlineはエンターテインメントとしての仮想世界を実現した、と言えるでしょう。

どっちがよりビジネス的に大きいかといえば明らかに前者なわけですが、実際にビジネスとして大きくなる前にいろいろなことが先走ってしまった感は否めません。いまのところ、実際にビジネスとして存続しているのはUOなのです。

セカンドライフがツールとして不十分なのは、どうも根本的なビジネスモデルにあるような気がします。

たとえば、HTTPのようにメタヴァースのプロトコルが定められて、誰でもサーバを設置できて世界を相互接続できるような仕組みがあれば、そっちのほうが遥かに低コストでツールとして流行りそうな気がするのです。

WWWが普及した背景にも、サーバは誰でも設置できた、ということが大きいと思います。

それがアメーバのように相互接続され、結果として世界に広がっていったわけです。
今のインターネットは一企業が全ての世界を管理することは不可能に近くなっており、世界全体を管理しようとするとそのことが逆に臨界点を生じさせてしまっています。

それよりは世界は解放されている前提で、世界を探るための道しるべを提供する、たとえばGoogleやYahooがそうしているように、またはInterNICがそうしているように、メタヴァース的なサービスを誰もがホストできるようにして、そのインデックスだけをランデンラボが管理するようにすれば、サーバの運営コストは外部に吸収され、リンデンラボはメタヴァース的ソフトウェアの改良だけに注力できたのかもしれません。

ビジネスのあり方を二種類に分けるとすると、ひとつはエンドユーザから直接お金をいただく方法、もうひとつは他の会社がエンドユーザからお金をいだたけるようにする方法があると思います。

たとえばコンテンツを作って有料課金するのは前者、コンテンツ管理システムを作ってコンテンツプロバイダに提供したり、無料コンテンツを作って広告収入を得たりするのは後者です。

言うまでも泣く、UltimaOnlineは前者で、セカンドライフは後者です。

しかしYahooも後者で、Googleも後者であることを考えると、セカンドライフは仮想世界における後者モデルの最初の勝利者となれる可能性は十分に秘めていたと思います。

あとは技術的な問題。とりわけ、外部の開発者に対する教育や指導にあまり熱心だったように思えず、見た目や装飾についての部分だけとても熱心だったように感じます。

僕はゲーム機向けソフトウェアプラットフォームやミドルウェアというものを何年も商売にしているので痛感しているのですが、ソフトウェアの開発者というのは、ハードルが低いことよりも、それに人生の貴重な時間を使って学習する値打ちがあるかということを第一優先に考えるわけです。ミドルウェアは本来、開発者の学習時間を短くするために使うはずですが、開発者にしてみれば、ミドルウェアの使い方を学習するということも貴重な時間の使い方のひとつですし、そのミドルウェアや思想に将来性がなければ、いとも簡単に見捨ててしまいます。

FlashでつくるかAjax(javascript)で作るかという議論をよくしているのですが、適材適所という言葉があるように、Flashで作るべきところとAjaxで作るべきところはきちんと分けなければいけません。しかし、僕個人の考えでは、ほとんどの場合はFlashで作ったほうがより高度なものが作れるとおもっていますし、それを勉強するための時間は決して無駄にはならない(特にActionScript3.0に関しては)と思っています。

技術にも旬があり、ハビタットの頃の常時接続、CommunityPlaceの頃の3Dというのは明らかに早すぎました。何年もの間無視されていたAjaxがGoogleMapで花開いたように、技術というのは根本がしっかりしていれば何度でも再評価されます。

うーん、だとしてもLSLはイケてない。LSLを極めるのに人生の貴重な時間を使おうとはやっぱりまだ思えません。ActionScript1.0の頃のFlashみたいなものです。このままでは駄目なはずで、そのときかなり大幅なパラダイムシフトが必要で、そのときこそ再評価されるだろうということです。


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