強敵と書いて"とも"と読む。そしてiモード9周年おめでとう記念日
実は今日、2月22日はiモードの生まれた日。
9年前、まだ右も左もわからなかった22歳の僕がiモードに出会って、夏野さんに出会って、天地がひっくり返るほどの衝撃を受けた日。
蛇足ですが、この本にちょうどそのときの夏野さんから見た僕との邂逅記録が載っています。
それから10年。
iモードは本当にいろんな人を儲けさせる最強のツールになりました。
昨夜はiモード業界の古い友人とひさしぶりに酒を酌みかわしました。
彼は、9年前は敵でした。
当時の彼と僕とは同じ市場で一、二を争うコンテンツプロデューサー。それまでオリジナルコンテンツでは無敗だった僕のゲームが、彼の指揮する大ブランドにやすやすと抜かれてしまったときは悔しいというよりも清々しいほどでした。
当時100万人しかいなかったiモードのオリジナルコンテンツというニッチなフィールドで、手応えのある相手。本気で物作りに賭けてる相手というのを確認して、悔しい、困ったというよりも僕はゾクゾクするように嬉しかった。
当時のiモードのゲームプロデューサーはとにかくとんでもない怪物みたいな連中が多くて、彼も務めていた会社では若手ナンバーワンのホープと言われていて、そいつが戦場をプレステからケータイに変えて戦いを挑んできた。生き馬の目を抜くようなゲーム業界にくらべると、どちらかといえば牧歌的だったケータイゲームの世界に、戦国時代が訪れた。そういう相手です。
血で血を洗う戦い。倒れるまでゲームを作って、それでも「あいつはさらに上を行くかも知れない」という不安がぬぐえず、脳から血が滴り落ちるような感覚に陥るほど考えに考え抜き、戦い抜いた。
その当時のライバル達は、自分の同僚や部下なんかよりもよほどお互いのことが分かり合える。年に一度しか合わなくても、何年も合わなかったとしても、とても強い絆で結ばれているのです。
何年かして、僕が独立したときに、真っ先に声を掛けてきてくれたのは昨日飲んだ彼でした。
彼は老舗のゲーム会社の辣腕プロデューサー。僕は成功したベンチャー企業を上場直前に退職したばかりのヒネクレ者。
暇つぶしに本を書いたりとかして。
社会が僕という人間の評価をどうすべきか迷っているときに、会社から切り離して僕という人間を真っ先に信じてくれたのはかつての最強の敵。
あの頃の仲間達とは、今でも時々会う。
仕事をするときでも、遊ぶときでも、不思議な連帯感がある。
毎年、2月22日はドコモがホテルの宴会場を借りてとてつもなく盛大なパーティが開催されるのだが、9周年目の今年、なんとドコモはパーティを自粛。あろうことか忘れていたらしい。
その知らせを聞いて、残念に思った僕は「二次会だけ開催したら?」と誰ともなしに言った。
気がつくと、総勢100人弱が参加する「一次会なしの二次会」が開催されることになった。
「みんなと会えないなんて哀しい!」
そんなこと、誰が言うともなしに、ケータイメールの転送だけで、100人が集まった。凄いよね。みんなドコモとかそっちのけだもの。
初期のiモードパーティは金融機関や新聞など、いわゆる「モバイル専業」以外の会社を入れても500人程度だったから、その1/5が参加することになる。
みんなケータイが好き、というよりもケータイ業界が大好きで、仲間が好きで、そこの戦友達と酒を飲むのが死ぬほど好き、という連中。
今夜ばかりは会社の枠を超え、利害や対立を超え、業界の古狸と猛者達が朝まで飲みまくり暴れまくるモバイル業界で年の一度のお祭り騒ぎ。
僕にとってはスティーブ・ジョブスの講演よりもずっと重要な日。
iモードちゃん、9歳、おめでとう。
※10周年って間違って書いちゃったけど9周年でした
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