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GoogleはなぜAndroidを必要とするか?


某誌からコメントを求められ、僕も調べてみましたけど、いまのところなにひとつわからないということがわかっただけでした。




・Androidというコードネームである

・携帯電話向けのソフトウェアプラットフォームである

・オープンソースでフリーである

・OHAという業界団体を発足した




というだけです。この段階ではなんとも言えません。

公式ホームページでのスローガンを見ると




・オープン

・全てのアプリケーションが同じように作れる

・アプリケーションの境界をなくす

・迅速かつ簡単な開発環境




としか書かれていません。




これって、J2MEもMIDPもDoJAもそうなわけで、オープンであることを除けばBREWやWindowsMobile、Flashにさえも当てはまります。




つまりこれは何も言っていないのと一緒。




BREWはハードウェアの規定までありますが、OHAなる組織でハードウェアやアーキテクチャを完全に固定化することはいろいろと危険な要素を孕むことになります。




MicrosoftがDirectXでそうしたように、自由競争をあとから追認して公式化する形のほうが、先にアーキテクチャを決定してからそれにあわせてモノを作るよりも進化が速いし、技術の袋小路を上手く避けながら発展させることができます。




WAPも先にアーキテクチャが決まって、それにあわせてみんながモノを作るということにしたので、i-modeの進化の素早さと柔軟さにあっという間に置いていかれてしまいました。




市場が単一の規格でほぼ独占されるなら簡単ですが、実際には未だにプラットフォームが複数ある状況が続くと思われるので、ハードウェアを細かく規定してしまうのは致命傷になりかねません。だからAndroidではそれはやらないと思います。




しかし、問題はGoogleの目的です。

Googleは何を目的としていまさら携帯電話向けソフトウェアプラットフォームを作り、既にSymbian,Linux,ITRON,WindowsMobile,OSXというライバルの居る中に切り込んで行くというのでしょうか。




Androidは実にGoogleらしからぬものを感じます。

Googleといえば、独創的な発想で他社の意表をつくようなところにサービスをつくり、ユーザを集め、成功させるというイメージです。




こんなふうに既に勝負が決まっている分野に敢えて乗り出す意図はなにか?

この先は僕の想像でしかありませんが、おそらくこれはGoogleがMicrosoftに代わって世界のソフトウェアプラットフォームを支配するための尖兵として位置づけられているのではないかと思います。




GoogleはWeb2.0というキーワードとともに、Webをプラットフォーム化する(またはそういうイメージを喧伝する)ことによって存在感を増して来た会社です。




しかし実際には、FacebookにWebアプリケーションプラットフォームのイニシアチブを奪われつつあります。




先日のCTIAで感じた印象にすぎませんが、いまや誰もがGoogleよりもFacebookに注目しているような気がします。




Googleはいまのところ世界最大のインターネット広告プラットフォームとして十分成功していますが、もともとそれがGoogleの存在目的ではなかったはずです。




彼らは極端に技術指向な会社ですから、当然、ソフトウェアプラットフォームそのものを作り出し、Microsoftに勝利するシナリオを描いているはずです。でなければ、そもそも上場する必要すらないほど儲かっているわけです。上場というリスクを犯し、事業の発展スピードをあげたのは、Microsoftに勝利するためだと僕は見ています。




gmailもgoogle CalendarもGoogleDocsもともにMicrosoftのOfficeやExchangeを駆逐するためのサービスです。




しかし肝心のOSの分野では、いまのところ全く存在感を出せません。

gOSを作ったことや、100ドルPCからでもわかるとおり、GoogleはMicrosoftに対して独自OSで正面作戦を取るにはまだ次期尚早と判断しているように見えます。




そこでまだMicrosoftの支配が及んでいない、企業としてもGoogleよりずっと規模の小さいSymbianの持つ市場に狙いを付け、足下から固めようという戦略に見えます。




Google自身も携帯電話を決して軽視はしておらず、iPhoneへの積極的な取り組みや、日本の携帯キャリアとの積極的な連携を見ても解る通り、携帯電話をソフトウェアプラットフォームの重要なデバイスと位置づけていることが伺えます。




であれば、まずそちらを押さえてしまい、そこから携帯電話を少しずつ「大きく」していくことで、最終的にPCを駆逐することができるというシナリオを描いているのかもしれません。




それがおそらくAndroidのコンセプトである「All applications are created equal」の意味するところではないかと思います。もちろんWindowsやMacOSでもソフトウェアが動作し、ケータイでも同じものが動く、と。




まあそれだけならFlashと同じですけどね。

しかしアプリケーションプラットフォームのアーキテクチャはまだまだ未成熟な分野です。

ここで画期的なアーキテクチャをGoogleが見事作り出し、それが本当に採用されれば面白いことになるかもしれませんが、来週発表されるというSDKを見てみないとなんとも言えません。




iPhoneのSDKといい、アメリカのWeb企業はようやくケータイコンテンツの本格化へ目を向け始めたようです。




でもSDKだけ配られても、対応端末がないとどうにもならない気がするんですけどねえ。

そのあたり、どんなものが飛び出すのか楽しみです。


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